2.誰にも言えない気持ち

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 「……どうして私の誕生日知ってるの?」 「調べたとかじゃないですよ。さっき居酒屋で支払いの時、誕生日が書いてあるカードたまたま見えたんです。すいません……」 「やだなぁ! しょんぼりしてるの見られちゃったか……そうなの私、誕生日なのよ。別に三十過ぎるとおめでたくもないんだけどね。彼忙しい人だからさ! だから、今日は誘ってもらって暇つぶしができて助かったんだ。家族も誕生日にひとり家にいると心配するしさ。けど一人で飲みに行く勇気もないし! いやぁ~はずかしいな……そっか、見られてたのかぁ……」  恥ずかしさで、話す必要のないことまで次々と口から出る。 「……彩子さん、無理して取り繕わなくていいですよ。僕もなんか彩子さんには素で話しちゃって……いつもこんな余計なこと言わないんですけど。……だから、彩子さんも素で話して欲しいです」  静かに話す穏やかな声は、自白作用でもあるみたいだ。  溜め込んでいて誰にも言えなかった気持ちが言葉になった。
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