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どうやら私をここに連れてきた後輩の阿部ちゃんと彼女の同期も彼に気があるようだ。さりげなくボディタッチを交えて積極的に話しかけている。
居酒屋の個室で開かれているこの集まりは、うちの病院に入院した大学生が、土下座の勢いで阿部ちゃんに『絶対イケメンも連れてくるから!』とナースとの合コン、もとい交流会を頼み込んだ結果、開かれたものらしい。
阿部ちゃんは、大学生に合わせ若手ナースに声をかけたようだが、二十歳そこそこの、お金もない学生とお近づきになりたい子はいなかったようだ。
責任感の強い阿部ちゃんは、藁をも掴む思いで数合わせに、よりによって三十過ぎの私に泣きついた。
若者の中に入って浮きまくるのは容易に予想できるので何度もお断りしたが、可愛い後輩の頼みだ。
壁の一部になることを宣言した上で、幻の銘酒で手を打った。
「えー! 早瀬くんホントに彼女いないの?」
「私達も彼氏いないんだよー」
女の子二人はイケメンくんを囲みキャッキャと高い声を上げ楽しそうに話しをしている。
二人共、そのイケメンくんはやめておけ。
絶対なんかある。
感じの良さ、当たり障りのなさが普通じゃない。
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