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見た目で選ぶとろくなことにならないよ。先輩から忠告してあげるべきなのかもしれないが、経験して学ぶこともある。私は黙っていることにした。
……にしても、二人ともちょっと態度が露骨すぎじゃない?
イケメンくんにばかり構うから、地味顔くんたちの空気が淀んでいる。
なんとかしないと、彼らの人間関係にヒビが入ったら気の毒だ。
しょうがない、私じゃ不満だろうけど、話し相手にでもなってあげよう。
私が地味顔くんに声をかけようとすると、空気を読んでイケメンくんが話しを振った。
「僕なんかはただのサラリーマンになるしかないけど、鈴木と岡田は法学部と獣医学部で将来有望なんだよ。なっ?」
チャンスとばかりに会話に参加する地味顔たち。
イケメンくんに好印象を与えたいのか、将来有望に惹かれたのか、阿部ちゃんたちは地味顔くんに関心を示し質問を始めた。
「そうなんだー。頭いいんだねぇ」
「獣医さんになる人ってやっぱり動物好きなの?」
しかし、せっかく女の子が興味を向けてくれたのに、地味顔くんたちの会話スキルは高くないみたいで、返しに捻りも魅力もなかった。
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