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プロローグ
🌙「おかーさんのご飯、美味しい!」
「よかったよかった、あなたも大丈夫?」
「ああ、いつも通り美味いぞ」
「そう、よかったわ」
🌙「お外たのしーね!おかーさん、おとーさん!」
「ふふっ、そうね」
「そうだな。怪我しないようにするんだぞ」
🌙「はーい!」
いつまでも続くと思っていた、そんな日常はいとも簡単に崩れた。
「あんなことを黙っているとは……私が馬鹿だった、お前とは離婚だ!」
「っ、ええわかりました!!離婚しましょう!!!」
「親権は俺が持つ!!」
「はぁ、!?」
「当たり前だろう!お前は――――――なんだからな!!」
「っ……。ええわかりましたよ!!明日の朝には出ていきますから!!!」
🌙「おかーさん、?おとーさん、?何話してるの、?」
「琥珀…!?なんでもないわよ、ほら良い子は寝る時間」
🌙「、?わかった…おやすみなさい……」
次の日、起きるとお母さんは居なくなっていた。
🌙「おかーさん?どこ、?」
「琥珀、お母さんは…」
幼いながらも察した。離れ離れになってしまったのだと。
🌙「……うん、わかった、おとーさん」
当時齢8歳の私にはショックが大きかった。このときからだった。お父さんとの2人暮らしが始まったのは。
🌙「ねぇ父さん。どうしてお母さんと離婚したの?」
「……さぁな」
聞いても、はぐらかすばかりな父。
月日も経ち、私は12歳になった。ある日お父さんの机を掃除していると机上からこんなものを見つけた。
『魔女など気持ちが悪い。あんなのを妻にしていた私が馬鹿だった。』
そう書いてあった。魔女。噂程度には聞いたことがある。超自然的な力で人畜に害を及ぼすとされた人間のことだと。でも、魔女が出たなんてこと聞いていない。……いや、聞いていたとしても、そんなの御伽噺の中の話だと思って、適当にあしらったのかもしれない。……母さんが魔女。この街にいるならば、まだどこかにいるなら、探せば母さんに会えるかもしれない。
🌙「ねぇ父さん。母さんって……」
そう言うと父さんは少しくもった表情をした。
「母さんが、どうした。」
そう聞き返してくる父さん。
🌙「母さんって、魔女、だったんだね」
「お前っ、その情報、どこで」
🌙「父さんの机の上、掃除してたら出てきたよ」
「そうか、」
そう、短い返事だけして、あとは口を開かなくなった。
その時から。父さんとの関係は悪化した。正直居心地が悪い。なら言ってしまおう。
🌙「ねぇ父さん。」
「どうした」
短く返してくる、父さん。
🌙「私、母さんを探しに行く。」
「……そうか。好きにしろ」
そんなことを言う私に呆れたのだろうか。少し間を開けたあと、好きにしろ、そう帰ってきた。
そうして私は当主シャムロックが治めるこの広いエルムの地で母を探すことにした。
ほぼほぼ冒頭は同じです。
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