勤務1日目、会社の中に入るのはちょっぴり怖い

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勤務1日目、会社の中に入るのはちょっぴり怖い

  先月、食品系の会社を退職したので、仕事を探しにハローワークに来ている。ハローワークの入口に入ると、受付の人から、仕事の希望等の情報をパソコンに入力するように促されたので、言われたとおりに対応した。入力後、担当者に呼ばれるまで、椅子に座り待っていた。 「松井様〜。こちらへどうぞ」  担当者はどうやら、女性のようだが、目には大きなクマがあり、声も覇気がない。 「お待たせしました。こちらにおすわりください。」 「はい。」  改めて近くで見ると、見た目は20代後半といった感じだ。私と年齢はもしかしたら一緒かも知れない。 「今回担当させていただく、仕田原です。よろしくお願いします。」 「こちらこそよろしくお願いします。」  ここから、今までしていた仕事の事を聞かれたので、経歴について話す。そして希望の仕事等はないか聞かれたので、WEBで見つけてきた、求人票を渡し、ここはまだ募集しているか確認することにした。 「ここは、募集まだしてますか?」 「そこは、もう終了してますね。申し訳ありません。」 「そうですか。」 「先ほど入力してもらった希望の条件から、なるべく合致してそうな求人を見つけましたのでご紹介します。」 「お願いします。」 「こちらです。」  1つ目の資料を見せて貰う。え?占い師?てか占い師って求人に存在するの?そもそも人を占うスキルないのだが。 「こちらは超レアです。主にWEB上で、お客様の悩みに答える仕事です。完全土日休みで、在宅可能です。基本給プラスのインセンティブもあるので、ガンガン稼げますよ!」  なんで、目には生気がないのに、こんなに堂々と紹介できるんだ。  「あの〜さすがに占い師はないです。他にありませんか。」 「そうですか、人のために働けることができる素晴らしいお仕事ですが。」  このハローワークの職員が求人より、怪しく思えてくる。 「では、こちらの求人をどうぞ。」 「職名:特殊捜査員、雇用形態:正社員、年間休日:150日、月給50万、必要資格:なし、社保完備、育児・介護休暇あり、交通費全額支給」  ん?これは条件良すぎないか。良すぎて怪しすぎる。捜査員っていうのが一番気になってしょうがない。 「あの、特殊捜査員っていうのは?仕事内容教えてください。」 「シンプルにあらゆる捜査に関わってくるお仕事ですね。詐欺や、浮気や、殺し屋対応まで、幅広いみたいですね。」  えっ?なんだろう最後に軽く爆弾発言落としていったぞ。とういうかこんな求人が世の中にあることに一周まわって感心してしまう。 「すいません。そんな危ない仕事無理です。条件には多少目をつぶるので、まともな仕事ないですか?」  この仕田原さんが紹介してくる求人は特殊なものばかりである。本当に公表されている情報なのだろうか。  仕田原さんは少しパソコンを操作し、次に紹介できる仕事を探している。 「そうですね。ここのハローワーク職員仕事はどうですか?」  ん?とうとう勧誘みたいな事をしてきたぞ。 「ハローワークいいですよ。基本的に安定してますし。ガンガン働きたい人、働く事が何よりも好きな人にはおすすめです!」  そこはガンガン稼ぎたいではないのだなと心の中でツッコむ。というか社畜を極めてるなこの人。 「いまは5月中旬なのでけっこう山場なんですよね。ここを乗り越えたらあとはゆっくり下るだけです。私も頑張りまくって100連勤中です!」  その言葉を聞いて、絶句してした。この人、働き過ぎだろ。 「え、本当ですか?」 「えー。本当ですよ。仕事を紹介する人が頑張らないと、失礼ですから。」  反対にこの人は仕事に対して真面目に取り組み過ぎてて尊敬してきた。 「さすがに、ハローワークはちょっと。また出直してきます。」 「わかりました!良い仕事が見つかると良いですね。」  そんな仕田原さんの顔は、声とのテンションがあまりにも乖離していて、働くという事の大変さを改めて感じることになった。    
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