同じ韓国アイドルファンの私たち

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同じ韓国アイドルファンの私たち

ことの起こりは何だったのか。 もともとは知らない同士の私たちが知り合ったのは5人のファンだったから。 韓国男性アイドルグループ「UNITY」 メンバーは5人で。 まるでゲームキャラクターのようなきれいな顔のソ・スファン 一番歌のうまいムードメーカーなチェ・ジョンハ 演技がうまく、映画にも進出してるト・ハンウ リーダーで常識人、体力おばけなヒョン・ホソプ グループで一番年下、甘いマスクで食いしん坊なヤン・ギュボム Xで親しくなって、一緒にライブビューイングに行った。 「本当はライブ行きたかったんだけどねえ」 なんてボヤキつつ、韓国料理を食べに行ったり、グッズを買いに行ったり。 意外と近くに住んでいたと言うこともあって、仕事帰りに食事に行ったこともある。 趣味が同じ仲間、そんな感じ。 お互いに普通のOLで、「有給もなかなか取りにくいよね」なんて言ってたのに。 「韓国行こう!」 いきなりミキが言い出した。 「そりゃ、行きたいけど、ねえ」 妙なとこで真面目というか、律儀というか、立ち回りが下手と言うか。 有給が取りずらいのもあるけど、他の子の休みの代わりに仕事に出ることもちょくちょく。 そういうとこも似たもの同士だったはずなんだけど。 優花ちゃんも私と同じ意見よね、とちらりと視線を向けた。 いつもなら「そうねえ」と言いつつ、誰よりも真面目に答えてくれそうな優花ちゃんが「うーん」と唸っている。 まさかね。 と思う間もなく、顔を上げた優花は、 「いいわね。ミキは有給何日取れそう?」 とのたまった。 うそっ 3人の中では一番真面目で石橋をたたいてわたるようなタイプって思ってたんだけど。 目を丸くしてるであろう私の前でミキと優花は日程に行く先に泊まるところにと話を進めていった。 「じゃあ、秋奈も有給取ってね」 「えっ」 「私も聞いてみるけど、だいたいこのあたりでね」 「えっ! 7日!?」 スケジュール帳を開いて優花の指がすーっと横に動いていくのに驚いた。 「休みを挟んでも、いくらなんでも、いきなりそんな日にち」 「ずっと有給消化してないって言ってたじゃない」 「そうよ。それは私たちも一緒なんだから。一気に消化するわよ」 日頃、まじめな人の意見には逆らえないパワーがあるものなのか。鼻息荒い2人に身体をのけ反らせた私は小さくうなずいていた。
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