毛並みかわいい猫3匹

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毛並みかわいい猫3匹

「こいつ、かわいい」 そう言うミキはすいっと抱き上げられた。 はるか頭上でキレイな顔を急接近させられ口をパクつかせているミキちゃん。 「あれっ、ヒョンやばいよ。その子目閉じちゃったよ。死んじゃったの!?」 よく通る声がこれまたはるか頭上から降ってくる。 ふと隣を見るとジョンハペンの優花が目を潤ませている。 って言うかそんな場合じゃないし。 ため息をついた秋奈はすぐ近くの地面に並ぶ2人の足元に近づいてくる足に気が付いた。 ハンウが集めまくっているというバッシュを履いている。 妙に感心して顔を上げた。 前髪をおろしててなんだか小さな子供みたい。 ミキに顔をぴったりくっつけたスファンに心配顔のジョンハが覗き込み。その肩越しにハンウが顔を寄せている。 普通の状態ならこれほど幸せなことはないのに。 秋奈はまたまた大きく息を吐き出し、自分のふわふわな毛並みを見下ろした。 何でこんなことになっちゃったのか。私達3人は毛並みかわいい猫になっていた。 あっという間にミキと一緒に秋奈と優花は動物病院に連れて行かれた。 「大丈夫ですよ。何の問題もありません」 かなりイケメンな獣医さんがにこにこした笑顔をスファンに向けていた。 「よかったあ、何でもなくて」 診察室を出たスファンが心底ホッとした表情でミキを抱え上げた。 また気絶しちゃいますよ、スファンさん。 秋奈は待合室の椅子の下で目を細めた。 横にいる優花はジョンハを見つめたまま。その視線に気付いたのか、ジョンハがふとこちらに視線を落とした。 「お腹減ってるんじゃない? 何か食べさせないと」 そう言って、ジョンハは優花をすいっと抱き上げた。 あっ、やばい。優花の目がトロンとしてる。 気絶しないでね、優花ちゃん。 と、事の成り行きをじっと見ていた秋奈にハンウが顔を近づけた。 「こいつ、座ったままじっとして……何だか犬みたいな猫だなあ」 ぼそりと言うとスファンに顔を向けた。 「で? どうすんの? この猫たち、まさか連れて帰るとか」 「そのつもりだけど」 「つもりって、面倒はどう……」 「いいじゃん。なんとかなるよ。捨てて帰るわけにいかないだろ?」 ねえ~と言いながらスファンは抱っこしたままのミキにチュッとした。 「ヒョン!」 「えっ?」 目をむいたジョンハにスファンは腕の中でぐったりしているミキに気が付いた。 「うわっ! マジで!? 先生、やばいです。この子が!!」 スファンはミキを抱えたまま、出てきたばかりの診察室に飛び込んだ。
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