スカートとパンツ

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スカートとパンツ

 キーンコーンカーンコーン  教室のスピーカーからチャイムが鳴って、生徒たちが一斉に席に着く。  この後朝のホームルームがあり、1限目の授業がやってくる。  窓際の席でビルの立ち並ぶ街の景色と、サッカーゴールのあるグラウンドが見える。  さっきまで賑わっていた校門前の騒がしさが嘘のように静まり返っていた。  階段を上り下りする生徒の足音や、廊下を歩く誰かの話し声。  …ふむ、ホームルームというのは、何かの「会議」みたいなものか?  そう頭の中で聞くと、「違う」という“主の声”が返って来た。  にしては、異様な雰囲気ではあるが…    「人間」という生物に転生してからはや1ヶ月。  私は日本という国の、女子高校生という立場の者の体に入り込んだわけであるが、いかんせん“彼女”は、私という存在を毛嫌いしているようだった。  …というのも、今日が夏休み明けの初日とあって、絶対にボロは出さないでくれと懇願されていたからだ。  私が入っている体の主人は“神楽坂美琴”という者だが、私たちは1日のうちに入れ替われる時間が限られている。  私は日中。  美琴は夜。  彼女は「体を返せ」と口うるさく喚いていたが、転生して一週間が立つ頃には、諦めがついたようだった。  自分の身に何が起こっているのか、どうして私が“入ってきたか”、そのことを何度も伝えていた。  説明が下手だったせいか、随分と時間がかかってしまった。  が、今は見ての通りだ。  頭の中でおとなしくしている。  私がこうして「学校」という謎の場所に来たのも、彼女をおとなしくするためだった。  ぎゃーぎゃー喚かれるとめんどくさいからな。  ようするに、“仕方なく”、というやつだ。
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