SUPERMAN LIVES MATTER?

1/1
前へ
/1ページ
次へ
 ある日スーパーマンが目を覚ますと、BLMの煽りを受けて自らが黒人になってしまっていることに気付いた。  当初はスーパーヒーロー仲間のフラッシュが過去改変を行った結果の黒人化を疑ったが、本人に聞くと  「わしゃもう時間移動どころか、走るのも歩くのもままならんわい。ええのう、宇宙人は老化が遅くて……」  と言った具合で嫌味を言われる始末。  仕方がないのでクラーク・ケントとしての日常を送りつつ、この件の追及はじっくりと時間を掛けて行うことにした。  まず驚いたのは、黒人になったのはスーパーマンだけではなく、その周囲の人間もだったということ。  妻のロイスも黒人になっていたが、キツめの性格は変わっておらず、  「あなたが昨晩助けたネコは黒ネコじゃないわ! これは我々黒人にとっては由々しき問題よ!」  などと怒っていたし、出版社の上司であるペリー・ホワイトに至っては人種の変更だけでなく、名前までペリー・ブラックに改名されていた。  一方カメラマンで、親友であるジミー・オルセンだけは白人のままであったのだが、何やら卑屈な性格になっていた。  そこでスーパーマンが頼ったのは、かの有名なバットマンである。  バットマンは既に息子が跡を継いでいたが、スーパーマンをはじめとするヒーローたちが次々と非白人化している事実に気付いていた。  しかし、当のバットマン自身に変化は見られない。それをスーパーマンが不思議そうに見ていると、  「おれは実母が中東の人間だから。人種のパワーバランス的に変化がないんだと思う」  と、答えた。  それを言い出したら、自分は白人だの黒人だの関係ない、クリプトン星最後の生き残りのハズなのだが……と考えていたところ、見えない飛行機に乗ってワンダーウーマンがやってきた。  見れば彼女にも変化がない。曰く、  「わたしはそもそも人間じゃなくて、泥人形にギリシアの神々が命を与えたものだからねえ」  とのこと。ますます納得行かない気がする。  そんな話をしていると「ああ、わかったぞ。これは問題ない」というバットマンの声。続けてこう言った。  「ワーナーブラザーズのくだらない企画がコケれば、何もかもなかったことにされるさ」
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加