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ある日スーパーマンが目を覚ますと、BLMの煽りを受けて自らが黒人になってしまっていることに気付いた。
当初はスーパーヒーロー仲間のフラッシュが過去改変を行った結果の黒人化を疑ったが、本人に聞くと
「わしゃもう時間移動どころか、走るのも歩くのもままならんわい。ええのう、宇宙人は老化が遅くて……」
と言った具合で嫌味を言われる始末。
仕方がないのでクラーク・ケントとしての日常を送りつつ、この件の追及はじっくりと時間を掛けて行うことにした。
まず驚いたのは、黒人になったのはスーパーマンだけではなく、その周囲の人間もだったということ。
妻のロイスも黒人になっていたが、キツめの性格は変わっておらず、
「あなたが昨晩助けたネコは黒ネコじゃないわ! これは我々黒人にとっては由々しき問題よ!」
などと怒っていたし、出版社の上司であるペリー・ホワイトに至っては人種の変更だけでなく、名前までペリー・ブラックに改名されていた。
一方カメラマンで、親友であるジミー・オルセンだけは白人のままであったのだが、何やら卑屈な性格になっていた。
そこでスーパーマンが頼ったのは、かの有名なバットマンである。
バットマンは既に息子が跡を継いでいたが、スーパーマンをはじめとするヒーローたちが次々と非白人化している事実に気付いていた。
しかし、当のバットマン自身に変化は見られない。それをスーパーマンが不思議そうに見ていると、
「おれは実母が中東の人間だから。人種のパワーバランス的に変化がないんだと思う」
と、答えた。
それを言い出したら、自分は白人だの黒人だの関係ない、クリプトン星最後の生き残りのハズなのだが……と考えていたところ、見えない飛行機に乗ってワンダーウーマンがやってきた。
見れば彼女にも変化がない。曰く、
「わたしはそもそも人間じゃなくて、泥人形にギリシアの神々が命を与えたものだからねえ」
とのこと。ますます納得行かない気がする。
そんな話をしていると「ああ、わかったぞ。これは問題ない」というバットマンの声。続けてこう言った。
「ワーナーブラザーズのくだらない企画がコケれば、何もかもなかったことにされるさ」
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