16人が本棚に入れています
本棚に追加
足元に茶色のぬいぐるみのような……犬!?ハッハッハッと嬉しそうに私の黒い靴に体をこすりつけている。小さい茶色のふわふわの毛並みの犬だった。
顔をあげると、そこには私と同じくらいの年齢の男の人がいた。女の子のような可愛い顔をしていて、色素の薄い髪と目。海で遊ぶのか、少し日焼けした肌。まだ朝夕は肌寒い気がするけれど、短パンを履いている。
「いつものことなので、しばらく休めば大丈夫です」
「いつも……うん。よく見かける。前もここで座っていたよね?水、飲む?怪しい者じゃないよ!毎朝、ここ散歩していて、体調悪そうだし、気になってたんだ。病院行かなくて大丈夫なの?」
駅の自販機で買ってきたと思われるミネラルウォーターを差し出してきた。怪しい知らない男の人と喋るなんて……と、思ったけど、同年齢で学校へ行っていない雰囲気の彼に少しだけ同類の仲間意識が芽生えてしまった。
なぜ彼は行かないのだろう?なぜこの時間にまったりと犬の散歩をしてるんだろう?
「ありがとうございます。病院は大丈夫です」
水を一口飲むと、少しだけスッキリしてきた。犬がクルックルッと楽しげに回っている。
最初のコメントを投稿しよう!