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「おねえさまがいると、邪魔なの」
そりゃそうかもだけど。
「大輝くんがおねえさまを見て、おねえさまの方がいいって」
と妹の杏奈がぐずり出す。
「やっぱり、大人の女がいいんだ~っ。
杏奈もそのうち、大人になるもん~っ」
小学生の杏奈は泣き出してしまった。
あー、よしよし、と晴乃は慰める。
そんな晴乃にしがみついたまま、杏奈は言った。
「それに、私がお嫁に行きたいとき、おねえさまががまだ家にいらっしゃったら、困るでしょ。
おねえさまより先に私がお嫁に行ったら、失礼だから」
……意外に気を使ってくれるんだな。
っていうか、さすがに小学生よりは先に嫁に行くかな、と思ったとき、家の中なのに、派手な着物姿の美女が階段を下りてきた。
何故、みんなここから出てくるんだ。
宝塚か、と思いながら見上げる晴乃に、その美女、義母の望都子が言う。
「そうね。
出ていってちょうだい。
あなた、西子さんにそっくりだから」
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