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その相手、小出充悟から電話がかかってくると言うので。
夜、晴乃は自室で電話を待っていた。
ソファに座り、ライトアップされた夜の庭を眺めていると、コンコンと誰かが部屋の扉をノックした。
どうぞ、と言い終わらないうちに、杏奈が入ってくる。
「タダ飯ぐらいのおねえさま。
お義父様の持ってきたお話、断ったんですって?」
「だって、おじいさんなんでしょ? 相手」
「おじいさんだって、やさしいかもしれないわよ。
やさしい人が一番よ、旦那さんは」
と言いながら、杏奈は晴乃の膝に、よいしょ、と乗ってくる。
もうすぐ五年生になろうかというのに甘えん坊だ。
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