転校初日

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不機嫌そうに笹山が僕を見つめた。 「なんだよ」 「それ、嫌がってるだろ。やめろよ」 「…は?」 「だから、それはいじめだろ?そろそろダセえって気付けよ、もう高校生なんだよ」 はぁ…と心底面倒くさそうに溜息をつかれた。 「お前さ、今日転校してきたばかりだろ」 「そうだけど、もうクラスメートだから。僕はこういうの見過ごせない性質でね」 もう一言言おうと口を開きかけたとき、ガバッと笹川君が立ち上がった。いつの間に笹山は降りたのだろう。 「いじめって決めつけんなよ…!!」 笹川君にものすごい剣幕で睨まれている。 …なぜだ? 僕は彼を助けようと思って… 「なぁ、転校生」 クラスメートの1人が声をかけてきた。 「こいつらのはいじめじゃねえよ」 は…?こんなあからさまなのに? 「これはな、プレイだから」 「そうそう、それに笹川は怒らせないほうがいいぜー?」 え、笹川君…?笹山じゃなくて? 「あー、言ってなかったねそういや。笹川と笹山は、付き合ってるから」 「…はい?」 クラスにいる人達がクスクスと笑っている。 「わかるわかる。初めて見ると困惑するよね」 「これは、2人にとって愛情表現の1つってこと」 「だから、邪魔したら怒られちゃうよ?」 何が何だか、わけがわからない。 「コレが…?」 笹山が笹川の背中をポンポンと叩きながら前に出てきた。 「よく堪えたな。偉いぞ。」 そして、僕をすっと見据えて 「そういうことだから、俺らに口出しすんじゃねぇよ。高校生なんだから、理解できるよなぁ?」 僕が何も言えず固まっているうちに2人は帰ってしまった。 「まぁ、いきなりあれ見せられてカップルだよーなんて言われても信じられないよねぇ…15日になったらわかると思うよ」 「え…」 「あー、そうだな!15日になりゃあわかるよ!」 と、口々にクラスメートに慰められ(?)15日を待つことになったのだった。 その間、彼らの行動は変わることはなく、僕には笹山が加害者、笹川君が被害者に見え続けていた。先生まで、「またやってるのかー、ほどほどになーwww」といった具合だった。
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