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第一法廷『仲立紫苑』
プロローグ
カンカンカンー…
バンバンバンバンッ
鐘とガベルの音が鳴った。
始まりの合図だ。
私は証言台に立っている。
法廷には将棋の駒のお面を顔から上に被った人々がこちらを見つめていた。
実はこの人たちは検察官である。
私は心配になった。
私の後ろにも将棋のお面をつけている人がたくさんいる。
この人達はー…
弁護士である。
本当に私は無罪になるのか。
私は不安で仕方がなかった。
すると誰かに肩をぽんと優しく叩かれた。
『大丈夫。絶対うまくいくさ。』
私は戸惑いながらも、『はい。』と返事をした。
将棋のお面を被った人がたくさんいる光景はとてもー…いや到底浮世の裁判所では考えられない眺めである。
私はそんな歪な光景を受け入れがたく、目を閉じた。
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