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第14話 死体
廊下が真っ直ぐ伸びていた。
その廊下の右側にドアが並んでいた。
それぞれのドアの対面の壁には
大きな窓があった。
部屋の数と同じで窓も5つ。
窓から射し込む陽光で
2階の廊下は1階に比べて明るかった。
廊下の一番奥の部屋、
それはつまり応接室の真上にあたるが、
その部屋の前に
平原と六条、そして菅野がいた。
僕達に気付いた六条が
部屋の中を震える手で指差した。
西岡が真っ先に部屋に入っていった。
その後に松平がやや躊躇いがちに続いた。
僕は部屋の前の3人に頷いてから
恐る恐る中へ足を踏み入れた。
部屋は1階のワンルームと同じ造りだった。
中に入ってすぐに西岡と松平の背中が見えた。
僕は2人の後ろからそうっと覗き込んだ。
部屋の右奥にあるベッドの上で
足をこちらに向けて倒れている人物が
目に飛び込んできた。
倒れているのは男だった。
根元の黒いやや長めの茶髪、
若干こけた頬、
そして伸びた無精髭。
開かれた目は真っ直ぐ天井を見ていたが、
その輝きは失われていた。
年齢は30代後半だろうか。
男が死んでいることは一目瞭然だった。
男の胸元に突き立っている包丁の柄が見えた。
「吊るされた男」
なぜかそんな言葉が頭に浮かんだ。
「ねえ?
死んでるでしょ?」
その時、部屋の外から菅野の声がした。
「死んでるな」
西岡が機械的に答えた。
「・・とりあえず応接室に戻るとしよう。
話はそれからだ」
松平の言葉に従い僕達は部屋を出た。
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