本気だから……

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本気だから……

 麗矢は音也に言われて、少し考えてみているようだ。  確かに、前にそういったビデオを見ていた時、男のモノを挿れて男の人腰を振られた瞬間には、気持ち良さそうな声を上げていたようにも思える。 「ねぇ、ねぇ……本当に、気持ち良くなれるの?」  そう心配そうに音也の方に顔を向ける麗矢。 「保証は出来ないけど、今の君の状態を見ていると気持ち良くなれそうなんだけどな……。 まぁ、後は私には気持ち的に知識があった事が良かったのかもしれないよね。 男性でもモノを中に挿れて気持ち良くなれるポイントを知っているのは、経験者と医者みたいなもんだろうしさ。 じゃ、もし、君が全く知識も無しな状態でこういう行為をしていたら相手の事を気持ち良くさせる事が出来たのか? ってなるじゃない?」 「あ……」  音也にそう言われて、思わず納得の声を上げてしまう麗矢。 確かに音也の説明の通りなのかもしれない。 麗矢が音也の事を攻めたとしたら音也に痛い思いをさせていただろう。 多少はそういう行為について勉強するのかもしれないのだが、人体の方については音也の方はそういった勉強までしてくるのだから知ってるのだから気持ち良くさせてきれるに決まっているのだから。 「じゃあ……もう、後のことは、音也に任せるから……」  そう音也に向けて、笑顔を向けて来る麗矢。  どうやら麗矢のその笑顔に弱いらしく、寧ろ音也はそんな麗矢の笑顔にやられてしまったのだから音也の方も限界に来てしまったのであろう。 「麗矢……ホント、私は君の事が好きになってしまった。 だからさ、もう限界なんだよね……。 痛い思いをさせてしまったらゴメン……。 だけど、今の私は君の事が本当に好きだから、君の事を抱きたいと思ってる。 私の方もこういう行為に関しては初めての事だから、上手くないかもしれない……」  音也は麗矢に笑顔を見せると、 「俺の方だって、音也だからいいって言ってんだけど……」  そう音也の事を自分の方へと手招きし、両腕を音也の首へと回すと、麗矢自ら音也の唇へと唇を重ねる。 「……ん、れい……や……」 「俺の方も本気じゃなかったら、音也にこんな事出来ないでしょう?」 「あ……」  今度は音也の方が麗矢に納得させられた番のようだ。 そう今の麗矢に言葉に思わず声を出してしまったのだから。  そこにクスリとする麗矢。 きっと、そこは今だけ麗矢が優越感に浸れたからなのであろう。  人っていうのは相手より自分の方が優位に立てた時、クスリとするもんなのだろう。
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