千夜くん、病に倒れる

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博史は、そう言いながら、自分のリュックサックを、ゴソゴソと漁っている。 先ずは宿題を教わろうとしているらしい。 香澄も、もう一脚の丸椅子を持って来て、俺と博史の近くに座った。 「告白する勇気の出し方については、お祖父ちゃんの方が良い方法、知っているわよ?私と出逢う前は、色々な女性と付き合ってたみたいだから」 「祖父さん、やっぱ、若い頃、モテたんだな!オレも女子…みちるっていうんだけど、その子にだけはモテたい!」 「はいはい、それはお勉強の後でね?…貴方も博史に余計なことは吹き込まないようにね!」 香澄の奴…俺に話を振っておいて、よく言うぜ。 だが、確かに俺は中学から高校に至るまで女遊びをしょっちゅうしてた。 大抵の女は、俺が声を掛けたり、逆に掛けられたりしてたから、博史の真剣な(おそらく初の)恋のアドバイスには、なるか解らねー。 「それで、どこが解らないの?」 「国語なんだけど、ことわざの問題が解らないんだ…」 「『情けは人の為ならずの意味を答えよ』…?」 香澄は、博史が指差したところを見て、直ぐに説明した。 「ああ、これはね、人に良いことをすると自分に返ってくるから、人には積極的に親切にしましょうって意味なの」
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