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千羽鶴の起こした奇跡
流石、香澄。
かつての俺達の母校で、現国を教えてるだけあるぜ。
俺、意味は真逆だと思っていたからな。
「すげーな、祖母さん!オレ、逆だと思っていたぜ。後、祖父さんに、祖母さんにも訊いてみろって言われたんだけどさ…」
博史は、そう言いながら、さっき雅と持って来た千羽鶴を指差した。
「母さんが信じ込んじゃってるんだよ。千羽鶴に願い事をすると、1度だけ願いが叶うって!」
「えっ?それって本当のことじゃないの?…ねえ、貴方だったら、どんな願いを叶えたい?」
「願いだったら、もう一度、香澄と高校生に若返りてーが、迷信に願い事をしても叶う訳…」
俺が、そこまで言った時だった。
千羽鶴から、突然、白い光が発生したかと思ったら、その光は病室全体に広がった。
俺達3人は、目を開けていられなくて、思わず目を瞑る。
どれくらい時間が経ったのか?
長かったような気もするし、一瞬だったような気もする。
只、俺は急激に身体に力がみなぎってくるような感覚を覚えた。
それは、もう何十年も前の感覚に似ていて…。
気付くと俺は勿論、香澄も博史もベッドに突っ伏していた。
「うーん…」「眩し…」
2人が顔を上げる。
そして、俺達3人は、互いの、正確には俺と香澄の顔と、窓の景色を見て驚きを隠せなかった。
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