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「良いんですよ、雅さん。この年頃の子は、多少の羽目は外したくなるでしょう」
「でも…」
「でも、凄いよね!頭が良いだけじゃ、なかなか受賞までは出来ないよう!」
刺身の舟盛りを持って来た山村が、良い歳して同じように興奮してやがる。
「山村、あんたは小学生と同レベルか」
「済みません、主人はいつもこんな感じで…。多分、皆さんにお会いした時から、変わらないんじゃないかしら?」
「そうね、私と出会った時も、既にこんな感じだったわ」
俺のツッコミに茜が応え、香澄も同意する。
料理は全部揃ったのか、山村は、舟盛りを広いローテーブルの上に置くと、襖を閉めた。
「僕が、この中で一番最初に会ったのは、保だけどねー♡」
そう言って山村が直ぐ近くに座っている俺の膝に頭を乗せようとしたから、俺は咄嗟に足を引いた。
山村は畳の上に頭をぶつける形になる。
「いたっ?!」
「膝枕なら茜にしてもらえ」
「そーだ!そーだ!」
博史が面白がって賛同した時。
不意に視界が暗くなり、頭がクラッとした。
俺は思わず片手で額を押さえる。
「貴方?大丈夫?」
「…ああ。少し座りくらみしただけだ」
「…千夜くん、健康診断は行ってますか?お店の定休日にでも来てくれたら、診察しますよ?」
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