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鈴木の指摘に、今まで黙っていた透も賛同する。
「千夜さん、病気は思わぬところに隠れています。一度、行ってみたら如何ですか?」
透は、病弱だった時期があるから、その言葉は信憑性があった。
そういや、今年はまだ行ってねーや。
「わーった。今度の定休日に予約しに行くぜ」
「お待ちしております」
その場では、そこでその話題は終わった。
客がケーキを食い終わったのを見て、俺は皿とフォークを片付けに、ホールへ出た。
「お下げしても宜しいでしょうか?今、食後のコーヒーをお持ちします」
「ありがとう。ここのケーキとコーヒーは、いつも美味しいわぁ。…って、店長さん、顔色が悪いけど大丈夫?」
丁度、明日の定休日に健康診断の予約に行こうと思っていたんだが、客に気付かれる程なのか…店長、失格だな。
「大丈夫ですよ」
俺は営業スマイルを浮かべると、トレーに空になった皿とフォークを乗せる。
そして、厨房に向かおうとしたところで、俺の記憶は途切れた。
「…ゔ…」
「気が付いた?!」
不意に暗底してた意識が浮上して、目を開けると心配そうな香澄の顔が目に入った。
「あ…?香澄、俺は…?」
見慣れねー白い天井に、事態が呑み込めず、俺の頭は混乱している。
「お店で倒れたのよ?お客様が呼んでくれた救急隊から、高校に連絡があって…鈴木くんが主治医として手術してくれたの」
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