千夜くん、病に倒れる

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香澄は、そこまで言うと、ナースコールを押し、鈴木と看護師に来るように連絡した。 俺…倒れたのか。 まさか、そこまで具合が悪いとは思わなかった。 「鈴木くんが今、来てくれるから…。貴方、当分は、お店は休業した方が良いわ」 「ったってよ、俺のケーキを楽しみにしてる客達は多いんだ。鈴木に言って、直ぐにでも家に帰るさ」 そう言って起き上がろうとしたが、鈍い頭痛がして、俺は額に手を当てた。 何か…頭がクラクラする。 身体全体も怠くて重い。 「ほら、無理しないで?突然、倒れたのよ?鈴木くんに精密検査してもらった方が良いわ」 香澄にそう言われ、起き上がり掛けた上体を再び横にさせられる。 確かに倒れたんだとしたら、そうせざるを得ないかもしれねーが。 俺が大人しくベッドに横になってると、白衣を着た鈴木が看護師達を伴い、颯爽と病室に入って来た。 「千夜くん。意識が戻ったようで良かったです。運び込まれてから、緊急処置をさせて頂きました」 「鈴木。俺はどれくらい意識不明だったんだ?」 「一週間です」 鈴木の言葉に俺は耳を疑った。 だが、鈴木も香澄も神妙な顔をしている。 2人が嘘をついてるとは、思えなかった。 「俺は店を続ける事が出来るのか…?」
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