千夜くん、病に倒れる

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急に不安と恐怖が押し寄せてくる。 鈴木は真面目な顔をして、俺と香澄に言った。 「検査してみないと詳しいことはわかりませんが、深刻な病気が隠されている可能性が高いです」 鈴木は、そう言った後、聴診器を病衣の隙間から俺の胸に当てた。 「心音は正常です。しばらく入院して下さい。…香澄さん」 「…ええ。貴方、ちょっと席外すわね?鈴木くんのお話が終わったら、又、来るから」 香澄は鈴木と病室を出て行っちまった。 看護師が「大丈夫ですよ。鈴木医師の腕は良いですから」と言って、残りすくねー点滴の袋を取り替える。 鈴木の腕の良さは、十分わかっているが、芽生えた恐怖は払拭出来る事はなかった。 診察室で。 私は鈴木くんから、夫の状態を大まかに説明された。 「詳細については、まだ検査結果を見ないと断言出来ませんが、事態はかなり深刻だと思って下さい」 「鈴木くん…千夜くん…夫の容体は、そんなに悪いの…?」 「ヘモグロビンの値が基準値を大きく下回っています。精密検査で更に詳しく調べる必要があります」 鈴木くんの暗い声に、私は自分の胸が苦しく、締め付けられる気がした。 「こちらも主治医として、最善を尽くします。香澄さんも、千夜くんを支えてあげて下さい」
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