千夜くん、病に倒れる

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病室のドアから聞こえてきた声に、俺と博史が視線を向けると、何やら色々な荷物を持った香澄が中に入って来るところだった。 その荷物から、香澄は菓子とタッパーに入った食事を取り出す。 「貴方、これ、お腹空いたら食べて?店員さん達からの焼き菓子。後、山村先輩が、『病院の食事だけじゃ味気ないだろうから』って、肉じゃが」 「それは有り難いけどよ。鈴木は何て言ってるんだ?」 「そう私も思って、診察の合間に鈴木くんに会って来たの。『千夜くんの今の状態なら、検査結果が出るまでは、大丈夫でしょう』って」 鈴木の許可が出たなら、安心して食えるな。 寧ろ、検査の結果次第では、食事制限される可能性もあるし、日持ちする内に早めに食った方が良いだろ。 と、香澄は今、気付いたように、千羽鶴を見つけて、ギョッ!とした。 「これ…博史くんが折ってくれたの?」 「うん!後、母さんと茜のおばさん!」 「こんなに立派なもの…ありがとう、博史くん。貴方、雅や茜さんにも、お礼しないとね」 やっぱ、そう思うよな。 雅には、口頭では礼を言ったが、退院したら、ケーキでも作って持ってくか。 茜にも、同様だ。 最も、茜より山村の方が喜んで受け取りそうな気もするが。 「祖母さん。礼なら、宿題の分かんないところと好きな女子に告白する勇気を出す方法を教えてくれよ」
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