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◇side 未咲◇
「うーん……。ちょっと作り過ぎちゃったかなぁ。でもまぁ、美味しく作れたからいっか」
まー君、そろそろ着く頃かなぁ?
手作りカレー、喜んでくれるといいな。
ピンポーン♪
あっ、来た!
コンロの火を消し、インターホンの液晶画面を確認する。
違った。宅配の人だ。
「今開けます」
私はインターホンに応答し、解錠ボタンを押して宅配業者をマンションに迎え入れた。
ドアを開くと、黒い帽子を被った宅配の人が俯きがちにピザの箱を抱えて立っていた。
帽子とマスクを着けてるから顔はよく見えないけど、膨らんだ胸元としなやかで白い指先から察するに若い女の人だろう。
でも───
「すみません。私、ピザなんて頼んでいないんですけど…」
「………」
「あのう……」
「宅配だからってドアを開けるなんて馬鹿ね。少しは警戒しなさいよ」
「え?」
突然、ドンと肩を突き飛ばされ、私は玄関に尻餅をつく。
その隙に女性は部屋に押し入ってきた。
「なっ…なんなんですか、あなた!」
スカートを靴でしっかり踏まれ、立ち上がることができない。
強盗だ…!
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