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警察を呼ばなくちゃ…。
エプロンのポケットからスマホを取り出す。
ところが慌てるあまり手から滑り落ちてしまった。
女性はすかさずスマホを拾い、冷ややかな目で私を見下ろす。
怖い…。今にも殺されそう。
「ま、待って……!家にあるお金、全部持っていっていいから、酷い事しないで……」
「……金?」
女性は蔑むようにふんと鼻を鳴らし、帽子とマスクをパッと外した。
収められていた長い髪がバサリと肩に垂れ、その相貌が露わになる。
「――――!!」
私は声を失った。
私を見下ろしているのは、私と同じ顔をした女の子だった。
「だ、誰なんです、あなた……!」
「あんたの双子の姉の桜花よ」
「私は一人っ子です。双子の姉なんていません!」
「まぁ…驚くのも無理ないか。私だって初めてあんたを見たときはびっくりしたわ。こんなに似てるなんて思ってもみなかったから」
それって、前々から私を知ってたってこと…?
桜花と名乗る女はチラリと部屋の奥を見やり、
「ふぅん……。中々いい所に住んでんのね」
それからまた私に視線を戻して、
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