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「あんたの事は少し調べさせてもらったわ。白川未咲。瀬戸香市内の私立高校に通う高校三年生。実家からは通えないから、親元を離れて一人で暮らしてる。父親は大学病院の脳神経外科医なんだって?」
「な…何が目的なんですか……」
「あんたの両親を誘拐した。生きて返して欲しいなら言う通りにしろ」
「は…?」
桜花は自分のスマホを取り出し、ある画像を私に見せた。
そこに写っていたのは、薄暗い部屋で椅子に拘束された両親だった。
「ひどい……!」
吐き気が込み上げ、私は両手で口元を覆った。
「ちょっと、こんなところで吐かないでよ」
桜花は楽しそうに続ける。
「今日からここが私の家になるんだから、汚さないで」
「……な、何言って───」
「今日から私はあんたに成り代わって生活する。同じ日に生まれた双子なのに、あんたばっかり贅沢三昧なんて狡いじゃない」
───この子、狂ってる…!
桜花の手の中で、私のスマホが振動した。
おそらく、まー君からのメッセージだ。
桜花はスマホの画面を見つめ、わずかに眉を寄せた。
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