その目(1月7日)

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「連続殺人って?」  クレイジーダンサーの樹楽が身を乗り出す。  先程まで舞台で踊っていたためタオルを首にかけているが、汗はとうに冷えてしまっただろう。その表情は曇っていた。  刑事が連続殺人というからには前に少なくとも1人、被害者が居る事になる。  その場にいる全員に思い当たる節が、あった。 「まさか、ミツキ……?」  ああ……。新人刑事のレオが頷く。 「ホラ、先輩。こないだの被害者もこの店のコでしたっけね」  脱力するような喋り方だ。  馴々しくされて頭にきたらしい女刑事がレオの脱色頭をゴンと殴る。それからフウッと煙を吐いた。 「アタシたちは犯人を『(フュンフ)』と呼んでいるわ」  フュンフ──言うまでもなく、ドイツ語で数字の5という意味だ。  彼女は店内を睨み付けるように視線を走らせる。 「ミツキといったかしら。この間死んだストリッパーが『(フュンフ)』第一の被害者と考えられるわ。つまり、この店に居る全員が容疑者って見解になる」  悪いけど、と彼女は付け加えた。
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