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「ど、どういう意味ですか。あなた、本当に警官ですか! どこの所属です?」
彼女の高圧的な態度に、Kが声を荒げて立ち上がる。
その腕を叩いて諌めたのは、他ならぬ兄であった。無口な兄は、傷だらけの顔を歪めて女刑事を見詰めている。
「わ、分かってるわよ。ちゃんと説明するわ」
ガーネットは少し怯んだように言葉を詰まらせた。
ブラッドの強面、それから真っ直ぐなその視線が痛い。
「でもその前に、ここに居る全員の素性をはっきりさせるわよ」
一方的に言い切った。鋭い視線は、まずは黄色の小男にささる。
「アンタが『シリアルK』のマスターのKね。20歳。日本人とドイツ人のハーフで、こっちで生まれ育った。Kって何? 本名は? どうせ川口とか木村とかいうんでしょ」
「な、何を言うんです。あなた随分独善的ですね。それに『シリアルK』とは店の通称で、本当は『ネーベン・ガッセ』という名が……」
しかし女刑事は聞いちゃいない。
今度は小声で不満を言い合っていた双子を指差す。
「ライム・ライトとレモンライト。17歳の双子でレズビアン。『シリアルK』のウエイトレス。女ラッパーの眼球を受け取った」
双子はまず声を揃えて「ライト姉妹でーす」と恒例となっている自己紹介をした。
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