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「ミツキといったかしら。最初の被害者」
それは先日殺されたこの店の従業員の名前である。
「これは公にはしていない情報よ。彼女の時も眼球が片方送りつけられたの。当時の同棲相手にね」
ブラッドが微かに唇を噛む。
「それだけじゃないわ。翌日には、指。しかも10本全部ね。3日目には足の爪。これも10枚。4日目には切断した左胸を送ってきたわ。そして……」
そこで樹楽がヒッと悲鳴をあげた。むきだしの両腕を抱えてブルブルと震えている。
「樹楽とミツキは同僚だったんだから」
「言い方ってものを考えてあげてよね」
双子が樹楽の頭や肩を撫でて宥めてやりながら、非難がましく刑事を睨む。
「そして、何? 5日目は?」
ドクター咲良が身を乗り出す。
こちらは恐怖や恐れよりも好奇心が強いか。
「5日目は、心臓よ」
吐き捨てるように言って、女刑事は煙草をもみ消した。
「毎日送られてきたの。受取人は恋人だったり友人だったり、街に住む兄弟だったり。送る方法も様々だった。小包だったり、庭に落ちてたり。5回とも違ったわね。あら、失礼」
突然鳴り響いた着信音に、実は自分も肝を冷やしたのだろう。
ガーネットが震える手で携帯を取り出した。そのまま背中を向ける。
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