10人が本棚に入れています
本棚に追加
「びっくりしたわね、ライム」
「心臓爆発したわよ、レモン」
息を詰めていた双子が大きく呼吸をして、互いに何か言い合うのが聞こえた。
その場の空気が僅かに緩む。
「大丈夫ですか、兄さん……兄さん?」
Kの声は掠れていた。
気が優しく、そして誰よりもカンナを愛している兄が、こんな話を聞いて平静でいられるとは思えない。
「カ……」
兄の暗い緑の目は、異様なくらい激しく震えていた。
「カンナの……」
「何ですか、兄さん。しっかりして下さい」
「カンナの心臓が送られてきたら……オレは、気が狂う……」
巨きな手が震え、カウンターの上のカップがカタカタと音を立てる。
「兄さん、考えちゃいけません。第一、あの眼が本当にカンナさんかどうか……」
女刑事の視線に気付き、Kの言葉が消える。ガーネットは電話を切った。
「残念だけど、あの眼球は99・85%の確率でカンナのものと判断されたわ。DNA鑑定の結果が出たのよ」
ブラッドが固く目を閉じる。手はポケットの中のビデオカメラを握り締めていた。
「カンナ……」
──カンナ、オレはどうしたらいい?
最初のコメントを投稿しよう!