その目(1月7日)

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「びっくりしたわね、ライム」 「心臓爆発したわよ、レモン」  息を詰めていた双子が大きく呼吸をして、互いに何か言い合うのが聞こえた。  その場の空気が僅かに緩む。 「大丈夫ですか、兄さん……兄さん?」  Kの声は掠れていた。  気が優しく、そして誰よりもカンナを愛している兄が、こんな話を聞いて平静でいられるとは思えない。 「カ……」  兄の暗い緑の目は、異様なくらい激しく震えていた。 「カンナの……」 「何ですか、兄さん。しっかりして下さい」 「カンナの心臓が送られてきたら……オレは、気が狂う……」  (おお)きな手が震え、カウンターの上のカップがカタカタと音を立てる。 「兄さん、考えちゃいけません。第一、あの眼が本当にカンナさんかどうか……」  女刑事の視線に気付き、Kの言葉が消える。ガーネットは電話を切った。 「残念だけど、あの眼球は99・85%の確率でカンナのものと判断されたわ。DNA鑑定の結果が出たのよ」  ブラッドが固く目を閉じる。手はポケットの中のビデオカメラを握り締めていた。 「カンナ……」  ──カンナ、オレはどうしたらいい?
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