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前回のストリッパーのパターンを考慮して、カンナの恋人──ブラッドといったか──の自宅をレオに張らせていたのだが、それは徒労に終わったようだ。
女ラッパーの細い指は、ブラッドの職場の同僚宛に封書で郵送されてきた。
部署は違えど同じ建物内の出来事のため、ガーネットに連絡が入るのは早かった。
「自分が夕べずっとあの頭弱そうな大男ん家ちのポスト張ってたんは、カンゼンにムダだったってことっスね。超眠いっス」
こいつの場合、張り込みをさせても当てにならない。
相当長い時間、居眠っていたに違いないとガーネットは思う。
「しかも大男、夕べ1回も家に帰ってないみたいっスね。恋人を探し回ってたんスかねぇ。愛っスねぇ……」
レオがブツブツ言いながら次第に眠りに落ちていくのを、机を揺すって邪魔をしながらガーネットは朝食代わりの煙草に火をつけた。
「いい? 大男だって容疑者なんだから。それに残りの九本の指だっていつどこで発見されるか分からないのよ」
「荒れてますね~。そんなに吸ってっと肺、真っ黒になりますよ。また男に逃げられたんスか?」
嫌な事だけきびきびした口調で言う。
余計なお世話よと後輩の顔面に拳を叩き込んだ瞬間だ。
部屋の電話が鳴った。
『5』捜査本部であるこの部屋には、当然ながら人間は2人。
「アンタ、出なさいよ」
命令され、レオは「ファ~」と欠伸まじりに電話を取った。
フンフンとやる気なさ気に返事を繰り返してからガーネットを見やる。
「送られてきた指の指紋、女ラッパーのものと一致したそうっスよ」
「そう……」
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