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「ま、真霧ちゃん、下がってろ。この銃が見えないのか」
少女は目を細めてゴルトの手元をじっと見ている。
ああ、この子目が悪いんだっけ。
「真霧、貴様も見ていろ。これは呪いの銃だ。狙った男は必ず射殺する!」
憎々しげに呟いてゴルトが安全装置を外した。指先に力を込める。
「よ、よせ。ミサ」
「馴れ馴れしく呼ぶな、クソ野郎! うっ、何をする……」
ゴルトがふらついたのは、直ぐ側までにじり寄って来た真霧がいきなり彼女の腕に飛びついたからだ。
「よせ、放せ!」
「うぅ……」
少女は森に住む小動物が木にしがみ付くように、体格差のあるゴルトに付いて離れない。
「呪いの銃じゃ……ナイ!」
やけにはっきり、少女が叫んだ。
「呪いの銃じゃない。それはシルの……シルの銃です。返して!」
「何だと? ちょっ、放せ! この……」
ゴルトは暴れるも、しかし真霧は益々力を込めてその腕に取り付く。
何とかしろ、というように女マフィアに睨まれ、降夜は静かに後ずさっていた足を止めた。
「いや、何をどうしろと……」
突然勃発したこの妙な争い。出来れば関わりたくないんだけど。それが本音だ。
「何とかして、降夜さん!」
真霧にまで睨まれた。
「コレ、シルの銃なの! シルがいつも持ってる……自分用の特注品で、絶対に人にあげたりしないの」
「……そう言われても」
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