108の呪い

1/1
前へ
/10ページ
次へ

108の呪い

 人間を憎み、世を混沌の渦へと陥れた異形の魔王・ダクリュオン。  胸を勇者の剣で貫かれ、反撃する余力など微塵も残っていない魔王は最後の悪足掻きにでる。 「醜く愚かな虫共めっ! お前達の進むその先へ災いあれ! 我が108の呪いが貴様らを苦しめるだろうっ!! このダクリュオンの怒りを決して忘れるなぁあぁあぁ!!!!」  今際の際、魔王の体から世界へ解き放れたのは108の呪い。  決して解呪(かいじゅ)することの出来ない強烈な呪いだ。  呪いを放出し終え、砂となって消えいく魔王を見届ける青年勇者・カーレッジ。  命と引換えに魔王に勝利した勇者は息も絶え絶えに仲間へ願いを告げる。 「聡明で偉大な魔法使い・ソール。どうか魔王の呪いから人々を救ってくれ、それが出来るのは君だけだ。……そして後を託すことしか出来ない不甲斐ない僕を許しておくれ、愛しい君よ」  伸ばされた勇者の震える手をエルフの女魔法使い・ソールは優しく握る。 「勇敢なるカーレッジ、わたくしは貴方の最後の願いを必ずや叶えましょう。ですから安心してお休みなさい、愛する貴方」  カーレッジは子どものようにふにゃりと笑うと、仲間達に見守られやがて息を引き取った。  こうして魔法使い・ソールの呪いを集める旅が始まる。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加