呪い集めの旅

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呪い集めの旅

 魔王が残した呪いは天才魔法使いソールであっても解呪することが出来ない。  なのでソールは魔王の呪いを自らの体に集めて封じ、最後は呪いと共に自ら命を絶つことを決める。  ある時、ソールは毒の煙を吐く大樹が生える森へと訪れる。  大樹は魔王の呪いで変質し、近辺の村々の住人達を困らせていた。 「この森は街へ行く為に必ず通らなければならないのですが、今ではそれが叶いません」 「森で猟をしなければ我々は生きてはいけません」 「森の恵みをどうか取り戻して下さい」  ソールが大樹に触れて呪いを封じると、たちまち毒の煙は消えてしまった。  村人達は彼女にとても感謝した。  またある時、ソールは体に魚の様な鱗が生えてしまう奇病を患う集落へと訪れる。  集落の者達の肌は硬い鱗に覆われ、とても人間には見えなかった。これも魔王の呪いだ。 「お助け下さい、この見た目のせいで魔物に間違えられ迷惑しています」 「この鱗のせいで隣の村の彼との婚姻が破談になりました」 「剥がしても剥がし鱗が生えてきて頭がおかしくなりそうだ」  ソールが鱗へ触れて呪い封じると、鱗はボロボロと剥がれ落ちて再び生えてくることはなかった。  集落の皆は彼女に深く感謝した。  ソールは世界のあちこちを巡り呪いを自分の体へと集める。人々を救う為、そして勇者との約束を果たす為に。
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