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ある日、
19:00過ぎ、
仕事帰り。
屋根付きのカーポートに車を停めて、素早く助手席のハンドバッグを手に取り降車する。
自動車に反応し、既にセンサーライトは点灯していた。
土留めの端の階段を上がる。
共働きで忙しくしている所為で、冬場に長らく放置された玄関先の狭い庭では、オオバコやカヤツリグサ、空き家になった花壇にはヤハズエンドウやドクダミが、様子を見がてらに顔を出し始めていた。
近い内に草引き乃至は除草剤を散布せねばなどと思う。
ポーチの向かって左の角には、一本、庇を支える太い柱がある。
鍵を取り出そうとバッグをゴゾゴゾと弄る内に、視界の端に影が映った。
柱の後ろに見知らぬ男が蹲っていた。
私は驚き飛び上がり、声を上げた。
だが、男は臆さぬ様子で、寧ろ困ったような顔をして目だけで私を見上げ、首を傾げてみせた。
まだ妻の帰宅前であり、家には誰もいない。
恐ろしいが、捨て置いて逃げるわけにもいかず、警察に連絡をと携帯電話を取り出した時に、男が突然立ち上がり私に飛びついてきた。
「やめろ!! 」
と声を上げ振り払った私を、また不思議そうに首を傾げ、目を瞬かせ見る。
どうやら彼は、私の行動に反応したのでなく、携帯電話自体に興味を持ったようだった。
私に危害を加えるような素振りを見せないので、乱れた呼吸を整えてから氏素性を尋ねてみる。
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