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恋なんてするもんじゃない⑨
隼人は、宇佐美の細い首筋に鼻先をつけた。
——何をするんですか。
囁くような掠れ声に、胸が切なく痛んだ。
唇を重ねようとするが、顔を背けられる。
だがもう止めようがない。
なめらかな太ももに触れると押しのけられたが、誘われているかのような非力さだった。
隼人は宇佐美の肌の感触を楽しみながら、徐々に股間に手を這わせていった。
固く目をつぶる白い顔——その宇佐美の目尻が赤くなってくる。
やんわり勃ちかけているのが、隼人の手に伝わった。
気を良くした隼人は再度唇を重ねようとするが、宇佐美は応じなかった。歯を食いしばり、なおも身を固くする。
だが下着の中に手を滑り込ませると、宇佐美の中心部は隼人の動きに合わせて硬さと熱さが増していった。
ゆっくり先端を撫でていると、ぬめりと指先が淫水に濡れてきた。
そこまでだった。
突如襲った陶酔の中、隼人は短く呻き、そして果てた。
目が覚めると、ソファーに座っていた。
ガラステーブルの上には、皐月から頼まれて宇佐美に持っていくはずの重箱。
空になったワインボトル。
駐在所に行くのに踏ん切りがつかず、飲んでいるうちに眠ってしまったようだ。
隼人はのろのろと立ち上がった。
嫌だ! 嫌だ! 嫌だ! 嫌だ!
本当に嫌だ!!
誰とも顔を合わせず、村を出たい!
いや、もう知り合いのいない所でひっそり暮らしたい!
自分はなんてダメな奴なんだ!!
自分自身を罵倒しながら汚れたズボンと下着を脱いで、隼人は思う。
駐在所に弁当を届けるのは、小春に頼もうと——。
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