初日ここまで

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「あっちゃん、何すかそれ~?」 「ジジイの日記みたいだなァ。スピったことしか書いてねぇ」 「俺にも見せてくださいよ~」 「ほれ」 「うわ~、なんかキッモイっすねぇ~」 「おーい! あっちゃん、こっちは金目の物なんもねぇぞ」  ドタドタと音を立てながら、二階から男が降りて来た。こうして、一階のリビングには三人の男が集まることになった。 「震災でみんな避難してるから、空き巣やれば稼げると思ったのにな」 「同感~。ジジババって、タンス預金してるイメージだったのに。ねぇ、あっちゃん?」 「ああ、そうだな」  あっちゃんと呼ばれた男は、顎に手を当て少し考え込む。 「なぁ、祠に行ってみないか?」 「は?」 「なんで~? 金目のものがあんの?」 「違う。そうじゃない」  そう言って、スマホを取り出すと 「俺たちの本業は、生配信者だろ?」  ニヤリと笑った。
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