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少しだけ仔犬を見ていてくれるよう菜穂に頼んで、晋也は急いで部屋に入るとタオルの束を掴んで戻って来た。
犬や猫を入れて運ぶような専用の籠など、当然ある筈もないからだ。
菜穂が乗って来た自転車の前籠にタオルを何枚も敷き詰めて、その中に黒い仔犬を入れる。
晋也は自転車を持っていないため彼女に先に行ってもらってもよかったのだが、菜穂が小さな生き物を入れて走るのは怖いと言うので晋也が自転車を押して二人で隣駅まで歩いた。
目当てのショッピングセンターに着くと、駐輪場に自転車を止める。
どうやら裏口を入ってすぐのペット用品売り場専用のエレベーターを使えば、小型犬や猫も同伴可能らしい。
売り場の店員に犬を見せて事情を説明し、すぐにでも必要になるものを教えてもらった。
一応歯も生えているし、思っていたほど赤ちゃん犬というわけではなさそうだ。
アドバイスに従って、フードと容器にトイレとそこに敷くシートなど、加えてキャリーケースも買うことにした。
支払いは全部晋也だ。
突発的な出費は正直痛いけれど、菜穂に出させる選択肢などあるわけもない。
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