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その夜から日曜日まで、結局晋也は仔犬と一緒に菜穂の部屋に泊まり込んだ。
スマートフォンのカメラで写真を撮って、一応今でも連絡を取っている大学時代の友人や仲の良い同僚にメールやメッセージを送ったり、通信アプリのグループに画像と事情説明を投稿したり。
菜穂もその場であちこち連絡してくれている様子だった。
しばらくすると事情を訊くがてらの返信はいくつも来たものの、引き取ってくれるという声は残念ながら皆無だった。
興味を持ってくれた相手はいても、さすがに「可愛い、欲しい」程度の気持ちだけではどうにもならない。
生き物を飼うのは決して気軽なことではないのだから。
「晋也、そっち脈ありそうな人いる?」
日曜日の夕方、仔犬をあやしている菜穂に訊かれて晋也は黙って首を横に振った。
「そっか、やっぱりねぇ。私の方もちょっと無理そう」
淡々と口にする彼女に、晋也は何と答えればいいのか迷う。どうすればいいのだろう……。
「……しょうがない、私が飼うわ。たった二日でも情が移っちゃった気がする。放り出すなんてできない」
さばさばした口調に晋也の方が驚いてしまった。いいのか!?
──きっと菜穂は、最初に「預かる」と口にした時から飼うことになる覚悟もしていたのだろう。
実際のところ晋也たちの同年代の知り合いは一人暮らしが多いし、大抵はペット不可の部屋なのではないか。
菜穂はもともと実家では常に犬や猫がいた環境で、もし飼いたくなった時のためにとこの部屋に決めたそうだ。
しかし一般的には、わざわざペット可の物件を選ぶくらいならもう自分で飼っている確率も高い気がする。
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