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その二日後には、宗太は身の回りの荷物だけ持ってうちに転がり込んで来た。
幸いって言っていいのかわかんないけど。
宗太は無精して、卒業しても学生時代の大学すぐ傍の安アパートにそのまま住んでた。だから適当にバイトでもすれば生活できなくはなかったと思うよ。
ただ、本人がもうすっかり働くことに自信失くしちゃってたからな~。
だけど実家ならまだしも、一人暮らしで無職の引き籠りなんてどう考えても無理ってもんだ。
やっぱ何事も金だよ、世知辛いけど。
もちろんアパートは今日言って今日解約なんかできないから、次の月まで家賃は払ったらしい。安いから、なけなしの貯金はたいて何とかなったってさ。
いやホントに、あたしみたいに卒業と同時にマンションとかに引っ越してなくてよかったよ。無駄に大金捨てる羽目になってたし。いい加減なのも功を奏することあるんだね。
……もちろん嫌味だよ!
それ以来二年以上、宗太はあたしの部屋で暮らしてる。
身分としては「同居人」で間違いないんだろうけど、家賃も食費も光熱費もびた一文出してないんだから、あたしの感覚としては飼ってるとしか言いようがない。
確かにご飯は作ってもらってるし、部屋だって一応片付いてはいるけどさ。ホンっとそれだけだもん。
でもさ、犬とか愛玩動物みたいな「癒やし」もないんだから、それくらい当然じゃない?
あ、念のために、外で働かないで家事だけしてる所謂主婦の人にはそんなこと思わないよ。結婚は契約だから、夫婦が納得して決めたんならそれは立派な役割でしょ。
行き当たりばったりの宗太とは、比べるのも失礼だって。
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