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本音とはちがうふるさと
中学生から家を出て親が体裁のために高校の金を払ってくれた。
勉強は成績優秀なだけじゃない彼女が僕の身体を見て「筋肉質なのに運動とか喧嘩とかしないんだ」とつぶやいてきて馬鹿にされたと思いこんでいた。
それだけの付き合いだったのに近年の暑すぎてどうしようもない日に勉強を教えてくれるお兄さん達と半裸で高校をサボっていた時に視線を感じて探していたら例の彼女だった。
僕が彼女を成績優秀なだけじゃないと言ったのは観察力に優れていて誰にも言えない秘密を隠していているようだった。
「なんで僕を気にしている?」
彼女は何も言わず、僕をつれてミニマリストブームに乗っかっていたのか豪華な名前も知らない絵画にシャンデリアと城か昔テレビやインターネットで見たような一軒家に連れていかれた。
「武道をやってる?それとも柔道か相撲をやってる?」
中学生から一人暮らしをしている現代でもそこそこ珍しく思われる男子にこんな積極的に連れられいきなり武道の話をされるなんて。
「これコンプレックスなんだけどよく顔が整っているから軽量級のスポーツやればと空手やサッカーやってたんだけど男らしくなりたいから今の高校でずっと言えないスポーツをやってる」
彼女は僕の身体を当たり前のようにさわる。
異性だからか彼女が特別だと認識しているからか顔が熱くなる。
恋はもう少しあとにしようと身体をきたえているのにある意味ミステリアスな彼女に子供ながらほれていたからか久しぶりに自分が男子高校生であることを思い出した。
「厳しいノルマとかを押しつけたりしないからここを第二の自宅につかって」
「なんでそこまで?」
互いに謎を隠しながら恋なのか会話なのかわからないやり取りのなかでつい僕は彼女の前でつぶやいた。
「ただいま」
そうか。
僕は彼女と初めてあった時から・・・。
おかえりと言われないままこの空間の意味不明さで出来た空気に思うまま流された。
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