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そして今、俺はここにいる。清海は苦しい山を越え立ち直り、俺という命が生まれた。
美郷は拓斗を抱き締めた。
「拓ちゃんは優しい家族に守られてここまで来れた。そして私はその輪の中に入る。お父さんに会うことは出来なかったけど私には分かる。きっと今、お父さんは側にいて喜んでくれているって」
「そうだな。きっと喜んでくれてると思う」
「拓ちゃん、ほら伝えたい言葉があるんでしょう? ご両親への手紙。二人が今ここにいるのは拓ちゃんと私の両親がいてからこそなんだからちゃんと伝えないとね。私たちの出会いだって山を何度も越えて今があるんだから……」
スタッフが二人を呼びに来た。チャペルで式が厳かに開かれ誓いを立てた。そして披露宴。あの時の博之の言葉から今に繋がるようにみんなが待つ扉が開いた。祝福され拍手が広がった。
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