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 富岡の話はこうだった。  ──実は本日、近くの松木さん、ご存じだと思いますがご近所の松木さんです。距離にして四百メートルほどでしょうか? 実は松木さんが家の裏手で牛を飼われてるのはご存じですよね? そこに長年使用してない古びたサイロがあるんですが。そうあの飼料用のタンクです。柴田さんもあれが利用されていないのはご存じだと思います。松木さんがもう利用価値がないため撤去するためにその下準備をされようとしたんです。そして高さ四、五メートルほどでしょうか。その高さまで登って中を確認したところ中に白骨化した遺体がございまして。早急に鑑定に回しておりますが、まず雄二郎さんではないかというのが私たちの見解です。もちろん事件性もありますので、詳細を調べてみないといけないのですが……。鑑定の結果が出るまでお待ち頂けますか?──  智己と文子は呆然として力を失ってしまった。 「本当に雄二郎なんですか?」  文子はすがるように声を絞り出した。 「結果が出ないことにははっきりと分かりませんが……」  富岡は落ち着かせるように静かに答えた。  鑑定の結果が出るまで柴田家は落ち着かずにいた。ただボンボン時計の静かな音だけが家の中で響いていた。
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