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その頃には
後日、富岡から連絡が入り鑑定の結果が出た。富岡の言う通り雄二郎で間違いなかった。鑑定は目立った外傷もないとのことだった。貴重品等も残されており事件性はないと判断され捜査は幕を閉じた。
しかし唯一の謎はなぜ雄二郎はあの場所に一人で行って、サイロによじ登りあの場所に落ちたのかということである。ただ、事件性がないと判断されたことでこれ以上のことは解らないままであった。
その謎だけが残ったが柴田家にはひとつだけ真実が帰って来た。
雄二郎の遺体が柴田家に帰って来たことだ。ただもうもの言わずである。
「雄二郎、寂しかったんでしょうね。この時期に帰って来るなんて……。やっぱり亡くなった人はお盆に帰ってくるんですね」
文子はボンボン時計の音を聞きながら遺骨を前に呟いた。
智己と明美は何も言わず同じように遺骨を見つめている。
今日は八月十日である。
〈了〉
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