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「で、クロのチートスキルは?」 「まずひとつ、なんと人間に化けれますニャ」 「化け猫?」 「……マスター、化け猫はひどいですにゃん。チートスキルですニャ」 「あ、ごめん」 「老若男女、どんな人間でも化けれますにゃん」 「へー、それは凄い」 「そしてふたつめ、身分証明証を偽造できますニャ」 「身分証明証を偽造?」 「はいニャ。マスターのだけにゃん」 「え? 俺の身分証明証を偽造できるのか?」 「はいにゃん。完璧ニャ、絶対に偽物とバレないニャ〜」 「絶対に偽物とバレない? 本当に?」 「本当にゃん。だからこそ、異世界転生チートスキルにゃん」 「なるほど」 (異世界転生ボーナス、チートスキル黒猫か。これはなかなか俺のサポートに使えるな) 「俺のスキルを知ってるのか?」 「もちろんニャ。異世界転生降霊術師ニャ」 「よく知ってるな」 「チートスキルそのみっつ、ちょっとだけ相手の意識が読めるニャ」 「マジか?」 「これくらいの至近距離で、相手が油断してて私に注目してる時くらいですにゃん」 「いや、可愛い黒猫に至近距離で油断して注目するって、だいたいの人間はするだろ」 「そう、ですにゃん」 (……この黒猫、ある意味この世界で最強かもしれん) 「で、クロは絶対に俺を裏切らない保証はあるのか?」 「もちろんですニャ」 「本当にか?」 「マスターが死ぬと私も死ぬし、マスターを裏切ったりしたら私は死にますニャ」 「えっ!? マジで?」 「本当ですにゃん。私のステータスボードに書いてますにゃん。見てみます?」 「見ていいのか?」 「マスターだけにゃん」 「そうか」 レイはクロのステータスボードを見せてもらった。 他人のステータスボードの内容を見るには、その人の許可が必要なのだ。 確かに、「日本であなたを暴走トラックから助けようとしてくれたマスターを裏切ったりしたら、あなたは死にます。女神である私がそんな事は許しません」と、しっかりと書いてある。 (女神様? 俺とクロを異世界転生させたのは女神様なのか? なの、だろうな) 「クロ」 「はいニャ」 「女神様に会ったか?」 「会ってないし、知らない人にゃん。マスターはあるにゃん?」 「いや、俺も知らないし会ったこともない」 「女神さんって最高裁判所長官より偉いのニャ?」 「え?」 「私が許しませんって、最高裁判所長官より偉そうニャ」 「……クロ、女神様って知らないのか?」 「知らないニャ」 「神様は?」 「神さん? その人も知らない人にゃん」 「……そうか」 「はいにゃん」 「まあ、神様や女神様は最高裁判所長官より間違いなく偉い」 「ほえ~、やっぱりそうにゃん」 「ああ」 この黒猫は最高裁判所長官を知ってるのに、女神様や神様を知らんのか、と思ったレイだった。
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