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食堂屋の店内に3人いたお客さんたち。 「お、女将さん、なんかよく分からんから帰るぞ。ごちそうさん」とか言ってみんな帰っていった。 見た目は味吉料吉になったジークは食堂屋さんのキッチンに入り、焼き鯖定食を作り始める。 お米(コシヒカリ無洗米)を鍋に入れ、ペットボトルの美味しい水と備長炭を入れる。本当は30分は米を水に浸したいが本当にお腹が空いているので直ぐに炊く。 味噌汁を作る。 超高級卵で玉子焼きも作る。 鍋のご飯が炊きあがる時間を見計らい、日本近海で採れた脂の乗った塩サバを網で焼く。   漬物は漬物名人と名高い人が作った漬物だ。それを切る。 流れるような手さばきだ。 そして、20分で焼き鯖定食が完成した。 ジークの身体から離れる味吉料吉。   「ほな、わては帰ります〜」   「味吉さん、ありがとうございました」 「ほな〜」 味吉料吉はステータスボードの中へ手を振りながら帰っていった。 さて、実食。すごく良い匂いが。 「頂きます。もぐもぐ……ごくん…………美味いぞ!」 さすがは超天才料理人、料理の帝王と呼ばれていた味吉料吉が作っただけはある。 ものすごく美味しい。 「あ、女将さん」 「は、はい」 「2人分作りました。良かったら食べます?」 「え? ええの?」 「俺は12歳。こんなに食べれませんので」 「じゃあ、頂きます」 「はい」 女将さんも塩サバ定食を実食。 「もぐもぐ……ごっくん…………何これ!? すっごい美味しいんですけど〜!」 「それは良かったです」 ジークも女将さんも塩サバ定食を完食した。 「ごちそうさまでした」 「ふ〜、ごちそうさまでした」 女将さんは、がばっと我に返った。 「レイ君だっけ?」 「はい?」 「君って何者?」 「何者? スキルは降霊術師、見た目は普通の12歳の子供ですけど」 「いやいやいやいや」 「え?」 「12歳でステータスボードを出せるって、絶対に普通じゃないからね」 「そうなんですか?」 「そうよ。それに、ステータスボードが出せるってことは、戦士の士じゃなくて、師匠の師よね?」 「はい、まあ、そっちの師ですね」 「おばさん、ちょっとだけスキルに詳しいからね。いくらスキルが師でもステータスボードを出せるのは18歳くらいからよね」 「そうなんですか?」 「そうなんです」 いや、そう言われてもと思うジーク。 「まあ、出せるものは仕方ないですね。使えるスキルは使わないと成長しないので」 「はー、おばさんのスキルって知ってる?」 「いえ」 「私のスキル、【接客】なのよ」 「なるほど。素晴らしいスキルです」 「そう?」 「はい」 「レイ君、いい子やね」 「ありがとうございます」 「この店で働かない?」 「15歳未満は働いても給料無しですよね」 「あ、知ってた?」 「知ってます。衣食住の提供は良いけど金銭を渡すのは禁止って。いわゆる完全無給の丁稚奉公」 「知ってたか〜」 「それに、俺のスキルは商売だとコストパフォーマンスが悪すぎますよ」 「コス……なに?」 「コストパフォーマンスが悪い。利益効率が悪い、ですかね。100円稼ぐのに1,000円の経費が必要、みたいな」 「……それは効率悪すぎね」 「はい。なので、俺は普通に丁稚奉公は無理ですね」 「それは残念無念」 「でも、ありがとうございます。お誘い嬉しかったですよ」 「レイ君〜、うちの息子にしたい〜」 「はい。それでは俺は用事があるので」 「はいよ、また来てな」 「ありがとうございます」 ジークは身分証明証を受け取りに役所へ向かった。
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