0人が本棚に入れています
本棚に追加
気がつけば、僕はここに立っている。冬の夜の海の前。真空にされたも同等に波音ひとつしないけど。痛く冷たい冬の風に当てられながら裸足で歩いた僕。
もう求めないよ、もう悲しまないよ。だって誰も聞いてくれないでしょう?
別に死にに来た訳じゃなくて、積み重ねた何かが僕をここに吸い寄せた。死んだ目で、人間の形を保つことを諦めて、歪なままの僕は今はここにひとりきり。あんなに拒んだ孤独に救われて、永遠に続けばいいとさえ思う。
「寂しそう」と言うなら一言でも理解を示してくれれば良かった。今では僕と言う概念は対世界の悪でしかなく、責めるべきは自身か他人か。そんな絶望は幾度も、幾度も違う形で相対してきて、やっと、全てを諦められたのだ。
せめて好きな人の幸せを願える様、好きなものを嫌わない様に。
気味の悪い薄ら笑いと共に、黒い湖に僕が消えていく。多大なる緊張感に襲われ、痛みを受け止めながら水深を深めていく。
それだけだった。
今日も死ねず、帰るだけ。泣きながらTwitterのTLを荒らしてメンヘラの烙印を押されるだけ。
昨日だって家族が寝静まってから自室のドアノブにロープをかけた。一昨日はベランダから飛ぼうとした。失血死、餓死、一酸化炭素中毒、人身事故、溺死、ショック死、毎日成功するのか検証している。
本気でことを成し遂げようと出掛けては家へ帰る。
「明日は来ない」と信じた昨日の僕へ
幸か不幸か、明日にいるよ
最初のコメントを投稿しよう!