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公爵家ご令嬢が婚約破棄されて5分で復讐する。〜辛口ジョークを添えて〜
小説家になろうのランキングを、上位からテキトーに見てたら、面白いなーと思った。
「〇〇公爵令嬢、貴様とは婚約破棄だッ!」
な、なんだってー!?
という冒頭がひとつ。
んで、別のはと言えば。
私は〇〇公爵家の〇〇。
なんとか様ー!と呼びかけられたので、いつものあどけない表情で振り返った。
という冒頭がひとつ。
んで別のは?
〇〇侯爵家と王家の不釣り合いな結婚に、〇〇家は歯噛みしていた。
特に、〇〇家へ嫁いだ妹のキャサリンは、唇から血を流すほどに……。
ンフフ。
何が言いたいかというと、貴族というのは、なろうのランキングまでも支配してしまう権力があるということだ。
ぱないよね。
日本に貴族はいないはずなんだが……。
ぱないよね。
異世界貴族。
さて、小馬鹿にするのは止めにして、俺もいっちょ、書いてみよう。
貴族令嬢の恋愛ものをな!
そして唐突に始まる、異世界ラブストーリー。
◇◇◇
「ランキング公爵令嬢!貴様とは婚約破棄だッ!」
「そ、そんなー」
私は、ナロー王国ランキング公爵家の令嬢、ザマァ・ランキングですわ。
たった今婚約破棄されたので、驚いたフリをしてみせた。
フリ、というのは強がりではないわ。
本当に驚いてないの。
すべて知っているから。
みてみん王子はどうして、婚約発表の場で、婚約破棄をしたのか。
すべて知っているの!
この茶番劇の主催者が、みてみん王子の隣りにいる女狐であるとね。
「私は、このカクヨム家のご令嬢と結婚する!」
カクヨム侯爵家――。
カクヨム侯爵家の令嬢は、自尊心が高く、わがままで、上昇志向の強い女よ。
しかも色目を使うのが、本当にお上手。
そのお点前は、相当なテクニックなのでしょうね。
私との婚約が決まっていた、みてみん王子を、こうも容易く丸め込んだのだから。
王子という権力を手に入た彼女は、どんなわがままも叶う。
それを今、試しているというところかしら。
公爵家の私から全てを奪い、衆目に晒させることで、侯爵家令嬢の彼女が自尊心を満たす。
まさにうってつけのシチュエーションですもの。
「別の男を探してやる故、俺には金輪際関わるなッ!」
言われなくても関わらないわよ。
なんて言うと、カクヨムさんが可哀想かしら。
入念に必死に仕立てた、せっかくの大舞台なのだから、付き合ってあげるわよ。
「わ、分かりましたー。ところで別の男は誰ですかー?」
私は知っているのよ。
カクヨムさんが、私にあてがいたい男をね。
それは……。
「アルファ男爵家当主でどうだ」
痩身で落ち窪んだ目をする、薄気味悪い男。
アルファ家当主を、あてがいたかったのよね。
フフフ。
男爵家という家格、そして気味の悪い見た目。
私を辱めるには十分すぎる演出ね。
ここはひとつ、乗ってあげましょうか。
私も、そろそろ我慢の限界ですものね。
「お、王子様のご命令でしたら、従います」
呆然とした風を装い、力なく返事をすると、カクヨムさんが口の端を歪めたように見えた。
「よし、アルファ家当主よ、ここへ」
数多の貴族をかき分けて、私のそばにやってきたのは、アルファ家当主、ポリス・アルファ様。
見た目はたしかに不気味だけれど、この場にいる全員が知らないのよ。
この方の本当の姿をね。
「ポリス・アルファよ話は聞いていたな?」
「はっ」
「異論はないか」
「ございます」
「なにッ!?」
ごめんなさいね、カクヨムさん?
ここからは私の舞台ですわよ。
「き、貴様!王子である私の提案を――」
「ランキング公爵家ご令嬢との婚約に、異議はございません」
「異論があると言ったではないか!」
「私が異論を持つのは、王子が近親での結婚をなさろうとしているからです」
「……なん、だって?」
そして明かされたのは、驚くべき事実。
王城内のメイドや執事、近衛騎士と仲良くしておいてよかったわ。
簡単に情報が手に入るんだもの。
カクヨムさんが、みてみん王子の寝室に出入りしていることも。
私を影でこきおろしていたことも。
そして、この舞台を作ることに躍起になっていることもね。
まあ、カクヨムさんの実父が現国王である、という話を聞いたときは、さすがに驚いたけれど。
執事というのは、本当になんでも知っているの。
王家に長年仕える、執事というのはね。
「現国王はカクヨム家当主の妻と不義の子を作り、そしてカクヨム家で育てさせて。その子、いやその娘こそアナタなのです!」
ポリスさんが指さしたのは、もちろんカクヨム家ご令嬢ですわ。
可哀想に、顔が引きつってらっしゃる。
「ば、ババババカな話をするな!」
こうなっては、現国王も黙ってはいない。
ええ、分かっていますとも。
アナタが出てくると思い、私は入念に準備していたのですよ。
「お集まりの皆さん!ご覧いただきたいものがございます」
私は声たかだかに叫ぶと、パンパンと手を叩いた。
すると、打ち合わせ通り、メイドたちが念写の魔道具を準備し、完了とともに奥へと下がっていく。
「私のスキル【記憶共有】で、私が得た情報を皆さまと共有させていただきますわ。この念写機でね」
そして私は、魔道具に手を触れた。
大広間の空中に投影された私の記憶。
それらは、国王とカクヨム家ご婦人しか知らないはずの、熱い手紙だった。
こんな手紙ぐらい、自分で処分すればいいのに。
全部執事任せにするからイケないのですよ、国王陛下。
会えない日々に身を焦がし、貪るように愛を確かめ合うその手紙を詳らかにされて、国王はプルプルと震えていた。
私としては、みてみん王子とカクヨムご令嬢に、仕返しができればよかったのだけれど、まあ仕方ないわよね。
国王の躾も悪かったということで、連帯責任です。
すべてを写し、すべてが明かされ、大広間は静まり返り、視線は王子へと向けられる。
兄妹で結婚など許されるはずがない。
早く破棄をするのだと、無言の圧力が彼を責め立てている。
「わ、私は……」
言葉に詰まる王子。
その隣で呆然するカクヨムご令嬢。
仕方ないですね、私が聞いて差し上げましょう。
「みてみん王子は、カクヨムご令嬢との婚約を破棄されますか?」
「……は、はい」
「カクヨムさんは、みてみん王子との婚約を破棄することに、同意されますか?」
「っは――」
「ああ!婚約破棄に同意は不要でしたわね。フフフ」
彼女に見つけられるのでしょうか?
王子よりも権力を持ち、どんなわがままも許し、こんな茶番に付き合ってくれる男を。
◇◇◇
割と真面目に書いたんですけど、ランキングにのるよね?
ランキング公爵家のパワー見せておくれよ?
以上、小馬鹿にしつつ真面目に書き上げた作品でした。
ちなみに、未知の領域である恋愛ものに挑戦する予定です。
魔境攻略できるのか!?
こうご期待。
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