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「余は歩き疲れた」
「まだそんな歩いてないし一人称は俺って約束だよね」
いつも外へ出かける時は馬を使っていたし、目的も無く歩き続けるのはこんなに苦痛なのか…瑞希は溜息をつき見回してから、小さな建物に連れ込んできた。
あのこーひー?と言うやつの香りが漂っていて、あの苦い味を思い出してまたあれを飲まされるのかと眉間にしわがよる。
店員らしき者が寄ってきて瑞希と何やら話していて、店員について歩いてゆきソファーを瑞希が示したので座れば瑞希は対面に座る。
「何飲みたい?って…わかるかな…とりあえずこれの中から選んで」
何やらツルツルした大きな紙の薄い本を手渡され、見てみたが本にしては薄すぎて数ページしか無い。だがそこには様々な飲食物がリアルに描かれていて食欲をそそる。
えすぷれっそ?かふぇらてとかふぇおれは違うのか?うぬぬ…ここあ?似たような色の飲み物が多すぎるではないか…
ふと瑞希を見れば幸せそうに頬杖をつきながら目を細めて余を見ていて、思わず振り返ったが特に何かある訳ではなさそうだ。
「えぇいわからぬ全部頼め」
「無理だよ飲みきれないでしょ?」
「構わぬ残せば誰か飲む」
「駄目。ちゃんと一個にして」
「余の言う事が聞けぬのか!」
「聞けないかなぁ」
睨んでやったがニコニコしながら頬杖をついていて、ムッとしながらまた手元の紙に視線を下ろした。
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