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「おぉミズキ!」
帰り道を歩いていれば、青色の短い髪に金色の瞳の褐色肌にキラリとした白い歯を見せながら笑う筋肉質な若い男が近付いてきた。袖もなく薄着一枚で、この男の筋肉質な体がはっきりわかる。
「お?綺麗な目してるし良い匂いさせてんな…」
「余の香りがそんなに馨しいか?」
「は?余?」
「何?僕に用事?」
余の香りを嗅ぎ良い匂いと言われ、胸に手を当て得意げに言えば瑞希に口を塞がれてしまう。せっかく余の魅力を分かる者と出逢えたのに、なぜ邪魔をするのか。
「いや姿見たから来ただけ」
男は余を頭から足までジロジロ見てきて、瑞希は手を離して余と男の間に割り込んで余を隠すようにしている。
「俺新井大地!よろしく!」
「余は」
「用がないなら急いでるから」
高らかに名乗ってやろうとしたのに腕を掴まれ無理矢理引いて歩かれる。
「痛い!離せ瑞希!瑞希!!」
骨が軋むほどの力で握られた腕は痛くてたまらなくて、引き剥がそうとしてもびくともしない。しばらく歩いてから路地裏へ連れ込まれ、やっと手が離される。
「余の腕を」
「余って言わないでって言ったよね?約束守れないなら僕の家に監禁してもいいしこの場に放置して帰ってもいい」
口を塞がれ壁に押さえつけられ、そのまま持ち上げられるのではないかという恐怖すら感じてしまうのほどの威圧感がある。
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